KeMCo「交景:クロス・スケープ」 – 慶応大学の新しいミュージアムがオープン

慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)

慶応大学三田キャンパスに開館した慶應義塾初のミュージアム「慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)」。慶應の持つ文化コレクションや様々なナレッジを共有するハブとしての役割も持つ施設です。

そのオープニング企画として「交景:クロス・スケープ」という展覧会とシンポジウムが開催されているので訪問してみました。

三田キャンパスについては以前も紹介していますが、三田キャンパスのいくつかの施設は一般にも開放されていて、KeMCoも予約は必要ですが一般の人でも訪問可能です。

▲KeMCoの正式名「Keio Museum Commons」。ローレンス・レッシグの”クリエイティブ・コモンズ” に呼応しての”ミュージアム・コモンズ” でしょうか。

エントランスホールの奥のこの場は学生による ”デジアナ実験場” としても機能していて、この日はインタラクティブなプロジェクション・マッピングが行われていました。


交景:クロス・スケープ

▲2021年4月19日から6月19日までの開催。
ただ土日祝は休館なので平日に来られない人にはちょっとつらいです。

▲会場へは入口から階段を上がっていくのですが、階段下には大山エンリコ・イサムのコミッションワーク「FFIGURATI #314」の記録映像が流れています。

慶應出身の大山エンリコイサムはKeMCoのスタッフなのです。

なお、この作品「FFIGURATI #314」は8FのKeMCo StudI/O(ケムコ・スタジオ)に設置されているので実物を見ることができます。

▲エントランスホールから階段を上がって振り返るといきなり作品が。

平安時代の観音菩薩立像です。
これはセンチュリー財団から寄贈された ”赤尾コレクション” の一部です。

これは旺文社の創業者である赤尾好夫氏のコレクションが今回慶応大学にまとめて寄贈され、展覧会はそのお披露目も兼ねているようです。

文字形 – AIが開く くずし字の風景

▲階段を上がった2F。

ここでは「文字形」つまりグリフに関するデモを行っていました。

古文書って日本語で書いてあるはずなのにひらがななど ”くずし字” は読み解くのが難しくて訓練された人でないと読めませんよね。

▲それをタブレットのカメラで古文書を撮影しAIを使って現代の文字に変換しようというものです。

ただ文字形の変換だけなので現代語訳まではしてくれません。

文字景 – 文と象

▲AIのデモを体験した後はエレベーターで3Fへ。

3階は「文字景 文と象(かたち)」。

赤尾コレクションを使ってひらがな文化の歴史や文学(源氏物語と平家物語)の研究の様子を紹介しています。

▲それほど大きねスペースではないですが、このような展示ルームが2つあります。

ただ展示されている文献の内容が深いので一つづつ読み込んでいるうちにあっという間に時間が過ぎてしまいます。1時間くらいは見ておくの良さそうです。

集景 – 集う景色

▲次は9Fの「集景」。

通常はカンファレンス・ルームとして使われているようですがこの展覧会中は会場として使われています。

この部分は写真NG。

慶應ゆかりの作家たちの作品が展示されていました。訪問した時は小山敬三や宇佐美圭司それに千住博などの作品がありました。


KeMCo StudI/O

9Fの集景を見た後は8FのKeMCo StudI/O(ケムコ・スタジオ)へ。

ここはクリエイション・スタジオとして機能する施設で、このフロアだけは学生さんが解説をしてくださいます。

▲大山エンリコ・イサムの <<FFIGURATI #314>> はここに設置されています。

奥の暗い部屋は撮影スタジオ。

3Dスキャンから普通のデジタル撮影まで、いろんな用途に使えるよう機材も揃っています。

▲逆にスタジオ内から全体を見たところです。

レーザー加工機、3Dプリンタなどの機材も揃っているのでオブジェトのデジタルから制作までこのスタジオで実現できてしまいます。

▲本棚には計算機科学者のドナルド・クヌースの本などが並んでいました。

本棚に面白い組み合わせが並んでいたので思わず撮影。
左はロバート・フランクの「アメリカ人」(左側:ジャック・ケルアックが序文を書いています)、右にはACM(アメリカのコンピュータサイエンス学会)の機関誌が写っています。

アートとコンピュータサイエンスという組み合わせがこのスタジオの目指すところを表しているかのようです。

KeMCoの場所

実は正確にはKeMCoの場所は三田キャンパス内ではないかもしれません。

▲赤羽橋からだと桜田通りを札の辻方面へ向かい、慶應の東門も通り過ぎ、マルエツプチのその先の建物がKeMCoです。

”東別館” とあるように三田キャンパスからアクセスはできず、桜田通り側がミラー張りの出入り口です。要するに街に対しても開かれた施設なんですね。

クロス・スケープ開催中は新図書館とアート・センターでも展覧会を開催していて、この3展覧会を同時に予約することが可能です。

ということで次は図書館へ移動です。いったん桜田通りへ出て東門からキャンパス内へ入ります。

慶應義塾図書館・旧館

いちおう展覧会を3つ見ると1時間半かかりますとアナウンスされていますが実際には2時間コースだと思ってください。

▲東門から図書館・新館へ向かう途中の図書館・旧館。国の重要文化財です。

長く改修工事が行われていましたが無事に完了。

▲2021年5月15日には「慶應義塾史展示館」が図書館・旧館内にオープンします。

また1階には簡単なカフェも営業(?)していますから、見学の際にひと休みするのに良いでしょう。

写真は有名なステンドグラス。今は立入禁止ですが、慶應義塾史展示館がオープンすればもっと近くで見ることができると思います。

(西洋)文字景@図書館

図書館・旧館に寄り道してから図書館・新館へ。

▲こちらでは「西洋)文字景―慶應義塾図書館所蔵西洋貴重書にみる書体と活字」という展覧会が開催されています。

手書き本から活版印刷の本まで貴重な書籍がいっぱいです。

▲ラテン語で書かれた詩篇唄集。

市ヶ谷の活字館とかトッパンの印刷博物館に興味があるような人には堪えられない展示じゃないでしょうか。


Artist Voice I: 河口龍夫 無呼吸@アート・スペース

3つ目は慶應義塾大学アート・スペースで開催されている「Artist Voice I: 河口龍夫 無呼吸」です。

▲三田キャンパスとは桜田通りを挟んで向かい側にあるのが「慶應義塾大学アート・センター」。正門を出て信号を渡ったところです。

ここの1Fが「アート・スペース」という展示施設になっていて、これまでも様々な展覧会を開催していて、一般の人でも入れる唯一と言ってもよい施設でした。

▲今開催されているのは現代美術作家 河口龍夫の展覧会です。

小さい展示室ですが作品がぎっしり収まっています。

▲本当は2020年に開催されたのですがコロナの影響で早期終了したため、その状況でも制作した作品を中心に今年改めてこの展覧会を開催しています。

河口龍夫の個展は西麻布「SNOW Contemporary」で同時開催中なので、そちらもどうぞ。

三田の慶應義塾に新しくできたKeMCo。特に慶應出身でない一般の人でも見学することができ、新しい視点からの企画が期待できそうです。
まずはオープニング企画の「交景:クロス・スケープ」をいかがでしょうか。

慶應義塾大学 三田キャンパス
港区三田2-15-45

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