渋谷区内の17ヵ所の公共トイレを建築家やデザイナーなどのクリエイターが手掛けるという、日本財団のTHE TOKYO TOILETプロジェクトについてレポートします。
全17カ所のうち2020年8月現在完成しているのが5ヵ所です。そのうち3カ所は恵比寿駅周辺なので早速視察に行ってきました。
まずは恵比寿東公園、通称タコ公園です。ここは建築家の槇文彦設計のトイレです。
槇文彦と言えば代官山のヒルサイドテラスや千駄ヶ谷の東京体育館など様々な建築を手掛けている大御所の建築家です。
NYのワールドトレードセンター跡地に建設された4WTCビルも槇文彦設計です。建築家のノーベル賞と言われるプリツカー賞を1993年に受賞しています。
外観をみてみます。
屋根の形が特徴的です。このラインは東京体育館の屋根の形にちょっと似ていますね。▼
方角を変えて恵比寿駅方面を向いて撮影した外観です。▼
これはその逆から明治通り方面を向いて撮影した外観です。▼
女子トイレ、男子トイレ、だれでもトイレがどのように配置されているか図面を見るとわかりやすいです。▼
これは3つのトイレの中央の屋根部分です。
屋根は全部を覆っておらず中央は抜けていて空が見えます。▼
その中央には木が植えられています▼
女子トイレ入り口側にはベンチがあって座ることができます。▼
男子トイレの入り口です。▼
だれでもトイレの入り口です▼
こちらは男子トイレの中の様子。男子トイレの中にもオムツ交換台が設置されています。
ちゃんと時代に合わせていますね。なぜか使用禁止でしたが。▼
こちらは女子トイレの洗面台です。▼
個室は清潔感のある白いタイルです▼
見ていただいてお分かりの通り、四角いキューブが配置され、そのキューブをつなぐ場所が中庭であり回廊であるという作りはヒルサイドテラスのそのものです。
ここはさながら小さなヒルサイドテラスですね。屋根は東京体育館ですが。
恵比寿東公園(通称タコ公園):渋谷区恵比寿 1-2-16
さて、続いて東三丁目のトイレです。槇文彦のタコ公園からは徒歩5分程度です。
ここはプロダクトデザイナーの田村奈穂がデザインを担当しました。
こちらは山手線の線路と道路の間のとても狭い空間です。写真の後ろに見えるのが線路です。
真っ赤でシャープな作りがとても鮮烈で斬新なデザインのトイレです。知らない人はまさか公衆トイレとは思わないのではないでしょうか。▼
狭小空間の立地を生かしたデザインです。▼
手前からだれでもトイレ、男子トイレ、女子トイレです。
こんな感じでかなり狭小な空間をうまく利用してデザインされいます。
でも実は女子トイレには個室が2つ向き合って設置されてあります。▼
ただ、独立した洗面はなく手洗いは個室の中にあります。▼
東三丁目トイレ:渋谷区東3-27-1
最後は恵比寿公園。東三丁目から徒歩5分ほどで到着します。
ここはインテリアデザイナーの片山正通デザインのトイレです。
今まで見た二箇所とは打って変わって重厚なコンクリートの壁がそびえるトイレです▼
公園の入り口側から男子トイレ、だれでもトイレ、女子トイレの順に並んでいます。
コンクリート打放しではありますが、杉板型枠のコンクリートなので木目のマチエールが温かみを感じるデザインになっています。▼
かなり凹凸がはっきり出ています。▼
男子トイレの中です。間接照明の演出など、屋外のトイレとは思えない雰囲気です▼
こちらは女子トイレの入り口です▼
入り口からは中が見えないように設計されています▼
こちらが女子トイレの中です。
洗面台といい、鏡といい、どこか商業施設やホテルのような高級感があります。
恵比寿公園:渋谷区恵比寿西 1-19-1
ここまで紹介した恵比寿3カ所の他に渋谷区富ヶ谷に2カ所、坂茂設計の透明なトイレが設置されました。こちらの方が実は「透明なトイレ」ということで話題にはなっているのですが、このブログの「麻布」からはちょっと離れすぎているので残念ながら見に行っておりません。
各々場所についてはこちらに詳細が出ております。
恵比寿に来たら是非デザイントイレ散歩をしてみてください。